お風呂は温浴療法
なぜお風呂に入ることが大切だと言われているのか、シャワーや半身浴ではなく、43℃の熱めのお湯に鎖骨まで浸かることが大切な理由やメリットをご紹介します。
入浴は「体を洗浄し、キレイにすること」と思ってる人が多いのですが、生理学的にみる本当の入浴の目的は5つ。
1.免疫力を高める
2.ホルモンの分泌を促進し、睡眠時の代謝を上げる
3.深部体温を上昇させて末梢循環を促す
4.水圧をかける
5.浮力で重力から解放される
1.免疫力を高める
HSP(Heat Shock Protein)ヒートショックプロテイン療法というものがあります。
熱ショックタンパクといい、大やけどや大けがをしたときに分泌され、組織を修復するタンパク質のことです。
このHSPは、熱いお風呂に入ったときにも発生します。熱いお風呂に入ってから3日目に、HSPがピークになります。すなわち、43℃以上の熱いお湯に浸かると、3日間もの間、体内の治癒力・修復力・代謝が向上し続けているということです。
2.ホルモンの分泌を促進し、睡眠時の代謝を上げる
就寝前に体内の体温(血液の温度)を一時的に上昇させ、その後体温が平熱まで下がってくる頃に入眠できると、睡眠時に出る成長ホルモンや、脂肪分解を促進するためのホルモンが大量に分泌されるのです。
赤ちゃんが眠いときにたくさん泣き、頭から汗をかくほど体温を上げ、その後体温が下がってくる頃にスッと眠りにつくのは、この成長ホルモンの分泌メカニズムをフル活用させて、身体を大きく作り変えているからです。
3.深部体温を上昇させて末梢循環を促す
末梢循環が悪化→末梢の体温が下がる→冷え性に繋がる
体温が1℃下がると、基礎代謝は約12%低下、免疫は37%低下するといわれています。反対に、免疫を担うマクロファージは体温が1℃上がると免疫力は5~6倍になるといわれています。入浴の目的は、末梢の血液・リンパ系の循環をよくして体温も上昇させ、癌の予防やアレルギーの予防をすることです。
低温のお風呂や半身浴はリラックスには効果がありますが、深部体温を上昇させられないという点では少し残念ともいえます。
4.水圧をかける
水圧がかかることで、むくんだ脚に貯まった疲労物質を体内にもどし、腎臓で濾過して排泄を促します。水圧がかかることで、腎臓にも膀胱にも圧力がかかるので、尿が出やすくなるのです。小さな子供がお風呂に入るとおしっこをしたがるのは、まさにこれですね。
5.浮力で重力から解放される
お風呂に入ると体重は1/10に減ります。浮力がかかると造血能力が上がるので、どんどん新しい血液を作り出すことができるのです。
当然、新しい血液を作り出せれば、免疫力も上がります。妊婦がプールやお風呂で浮力を使い造血能力を上げることは、お腹の赤ちゃんにとっても、たくさんの血液と酸素を充分に届けることにつながるため、とても大切なのです。
※ただし、妊活中は高温のお風呂ではなく40~42℃程度のお湯に浸かることをおすすめします。
「お風呂は熱い温度で首元まで浸かる」理由は、鎖骨下静脈(鎖骨のすぐ下にある静脈)の温度を上げる必要があるからです。リンパに滞っている老廃物や代謝物は、この鎖骨のところでリンパから血液に受け渡しをします。
この鎖骨周りや首周りの筋肉が硬かったり、冷えていたり、詰まっていたりすると、リンパからの老廃物を血液に渡すことができず、体内に溜まったままになってしまうのです。
運動、ストレッチ、マッサージなどで鎖骨周りをほぐすことや、睡眠前の温浴療法がとても効果的な理由です。就寝前の温浴療法で朝一の尿に睡眠時の代謝産物や老廃物を乗せ、しっかりと排泄し、快適な1日のスタートにしましょう。