ダイエット中は、使う食材も含めどういった食事をとれば良いか悩む方が多いと思いますが、バランスの良い食事の心がけが大切です。
本記事では、ダイエット中におすすめの食事メニューのポイントや食べ方を解説します。
1.ダイエットの成功に重要な食事!気になる基礎知識
実際に、ダイエットを成功させるためには食事の内容を工夫することは非常に重要です。
一般的によく知られているカロリー制限はもちろん、摂取する栄養素に気を配ることも大切です。
まずは、ダイエット中の食事について意識するべき二つの基礎知識からご説明していきましょう。
基礎知識1 摂取カロリーを減らす
ダイエットの基本は消費カロリーが摂取カロリーを上回ることです。
そのため摂取カロリーを減らすことはダイエットの大きな軸だといえるでしょう。
そもそも、太ってしまう原因は食事から摂取したカロリーを使い切れていないことにあるといえます。
私たちの体は食事から摂取するカロリーをエネルギーとしていますが、体を動かしたり生命を維持したりするのにそのエネルギーを使いきれなかった場合には、脂肪として体内に蓄えられてしまうのです。
ダイエット中の食事メニューを考える際には、普段よりも摂取カロリーを減らすことを意識してみてください。
基礎知識2 栄養バランスの良い食事を心掛ける
ダイエット中は栄養バランスの良い食事を摂ることも重要です。
「とにかく摂取カロリーを減らせばいい」
とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、急激なカロリー制限は健康を損なうリスクがあります。
食べる量を極端に減らすといった無理なカロリー制限を行うと、鉄欠乏をはじめとした栄養不良になる可能性を高めてしまいます。
ダイエット中でも、栄養バランスの良い食事を摂るよう常に意識しましょう。
2.ダイエットを成功させる食事のポイント9選
ダイエットを成功させるために知っておきたい食事のコツ10選を「食べ方のコツ」と「食べ物の選び方のコツ」という二つのポイントに分けて詳しくご説明します。
【ポイント1 食べ方】
まずは食べ方のコツからお伝えします。
食事制限をして食事の内容を大きく変えなくても、ほんのわずかな工夫でダイエットがより効率的に進められるといえるでしょう。
(1)食事を規則正しく摂る
仕事の忙しさなどからつい不規則な食生活を送ってしまっているという方も多いのではないでしょうか。
ダイエットのためには、まず規則正しく食事を摂ることから心掛けましょう。
食事の時間が不規則で前の食事から時間が開くと、おなかが空きすぎて一気にたくさんの量を食べてしまうことがあります。
空腹のあまり一度に多くの食事を摂りすぎると、カロリーオーバーになってしまいがちです。
適切な量の食事を摂れるよう、食事は規則正しい時間に取るようにしましょう。
(2)夕食は軽めに、21時以降は食べない
ダイエットのためには、夜遅い時間帯の食事を避けることも重要です。
「夜遅くの食事は太りやすい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは脂肪を溜め込むはたらきがある「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質の分泌によるものです。
BMAL1は22時〜2時に多く分泌されるため、その時間帯に食事をとることはおすすめできません。
できるかぎり夕食は21時頃までに済ましておくのが良いでしょう。
仕事の都合などでどうしても夕飯が遅くなってしまうという方は夕方に間食を取って遅い時間帯の食事を減らしたり、夕食に脂っこいものを食べるのは控えたりするようにしましょう。
(3)ゆっくりよく噛んで食べる
よく噛んで食べることもダイエットにつながります。
私たちが食べ物を噛んでいるとき、脳の中では「神経ヒスタミン」という物質が分泌されています。
神経ヒスタミンが満腹中枢を刺激することで、私たちは「おなかがいっぱいだ」と感じるのです。
つまり、よく噛んで食べることで満腹感を早く感じ、食べる量を抑えられるといえるでしょう。
また、よく噛むことで消費カロリーを増やすこともできます。
これは食事をした後はエネルギー消費が多くなる「食事誘発性熱産生(DIT)」というはたらきがあるためです。
食事誘発性熱産生(DIT)
食事の後の代謝の増加のことです。食事を摂った後には体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱になることで消費されます。食事誘発性熱産生は、1日に消費されるカロリーの約10〜15%を占めています。
ゆっくり食べると噛む回数が多くなり、食事誘発性熱産生が大幅に増えるという実験結果もあります。
よく噛んで食べ過ぎを避け、消費カロリーを増やすことでダイエットの成功につながると考えられます。
(4)食べる順番を工夫する
血糖値が急激に上がらないよう、食べる順番を工夫することもダイエットには効果的です。
具体的には炭水化物から手を付けるのではなく、野菜など食物繊維を多く含むものから食べ始めるのが良いでしょう。
「食物繊維の多い食べ物から食べることがどうしてダイエットになるの?」
と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。
食物繊維には血糖値の急激な上昇を抑えるはたらきがあります。
血糖値が急激に上がると、体は「インスリン」というホルモンのはたらきによって脂肪を多く蓄えようとしてしまうのです。
インスリンは血糖値の上昇に反応して分泌され、血液中のブドウ糖を細胞のエネルギーとして使わせるはたらきを持ったホルモンです。
一方でエネルギーとして使い切れなかったブドウ糖を脂肪などに変え、体内に蓄える性質も持っています。
血糖値が急激に上がるとそれに伴ってインスリンの分泌も盛んになり、体が脂肪を蓄えやすくなってしまうと考えられるのです。
体が余分な脂肪を蓄えるのを防ぐためにはまずは野菜から食べ始めて血糖値の上昇を緩やかにすることが重要です。
ポイント2 食べ物の選び方
ダイエットの際には、どのようなものを選んで食べるかということも重要です。
「カロリーの低いものを選べば良いんだよね?」
と、簡単に考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ダイエットの秘訣はそれだけではありません。
どんな栄養素を摂取するかということもダイエットの成功を左右すると考えられます。
ここでは、食べ物を選ぶ際のコツをお伝えします。
(1)野菜などの食物繊維を多く含む食品を摂る
食物繊維の摂取量を増やすこともダイエットには有効だといえます。
脂質や糖の摂り過ぎがダイエットの大敵であることはご存じですよね。
食物繊維には脂質や糖を吸着して体の外に排出するはたらきがあるため、肥満を予防したり改善したりする効果が期待できます。
食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の二種類に大別され、いずれもダイエットに効果的だと考えられます。
不溶性食物繊維を多く含む食品は固いものが多く、よく噛むことにつながります 。
噛むことは満腹中枢を刺激するため少ない量で満腹感を得られると考えられますね。
一方、水溶性食物繊維は胃腸の中をゆっくり移動するため、おなかが空きにくい という特長があります。
「じゃあ、どんな食品から食物繊維を摂ればいいの?」
というのが気になりますよね。
食物繊維は以下のような食品など、豆類、キノコ類、野菜、芋類、果物、穀物、海藻に多く含まれています。
・ゆできくらげ
・生おから
・グリーンピース
・納豆
・ゴボウ
・アボカド
・ブロッコリー
・えだまめ
・オクラ
・生しいたけ
(2)魚や豆、卵などからたんぱく質を多く摂る
ダイエット中の食事では、たんぱく質を摂取することも意識しておきましょう。
「でも、どうしてたんぱく質がダイエットに良いの?」
と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
たんぱく質は筋肉を構成する成分の一つです。
筋肉が多ければ多いほど、私たちがじっとしているだけでも消費されるカロリーである「基礎代謝量」が増える傾向にあります。
つまり、たんぱく質を摂り、ダイエット中でも筋肉量を落とさないようにすることが重要なのですね。
たんぱく質は以下の一覧のような食品に多く含まれています。
・肉類(脂身の少ない部分)
・魚介類
・卵
・乳製品(カッテージチーズ、ギリシャヨーグルト、低脂肪牛乳など脂質の少ないもの)
・大豆製品
(3)飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多いバターやマーガリンなどの食品を避ける
ダイエット中は脂っこくてカロリーが高い食品は避ける、という工夫はすでに実践されている方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、気にすべきはカロリーだけではありません。
ダイエットの際には特に「飽和脂肪酸」や「トランス脂肪酸」を多く含むものを避けるべきだといわれています。
飽和脂肪酸は動物性の食品に多く、牛や豚などの脂身のほかバターや生クリームなどにもたくさん含まれています。
肉は主要なたんぱく源の一つでもありますが、ダイエットの際には脂質の少ない部位を選び脂身は取り除くのが良いと考えられるでしょう。
また、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれている工業由来のトランス脂肪酸にも注意が必要 です。
そのため、これらを原材料として作られるパンやケーキ、洋菓子、揚げ物などはダイエット中に避けた方が良いかもしれませんね。
飽和脂肪酸
体内合成が可能な脂質の一種です。肥満の原因の一つであるほか、体に悪いはたらきをする悪玉コレステロールの血中濃度を上げる主な要因でもあります。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、工業由来のものとウシなどの反芻動物の胃の中で生成される天然由来のものに大別されます。飽和脂肪酸よりもコレステロール値を上げる原因であることが示唆されています。特に体に悪影響を及ぼすのは工業由来のものです。
(4)白米より玄米などの GI値が低い食品を選ぶ
「ダイエット中って糖質を減らすといいんだよね?」
このようにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、過度の糖質制限はエネルギー不足による疲労感や集中力の減退を招いてしまうためおすすめできません。
そこでおすすめなのが血糖値の上昇が緩やかな「GI値」の低い食品を選ぶようにすることです。
GI値
「Glycemic Index」の略で、その食品を摂取したことによる血糖値の上がりやすさを示す指標です。摂取してから2時間後までの血糖を計ることで算出されています。
血糖値の急激な上昇は肥満の原因 になってしまいます。
そのため同じ量の糖質が含まれていたとしても、GI値が高い方が肥満につながりやすいと考えられるのですね。
【主な主食のGI値】
・餅 85
・白米 84
・赤飯 77
・玄米 56
・五穀米 55
・あんパン 95
・フランスパン 93
・食パン 91
・クロワッサン 68
・ライ麦パン 58
・うどん 80
・スパゲッティ 65
・中華麵 61
・そば 59
・春雨 32
主食はGI値の低いものを選ぶようにし、血糖値の上昇を緩やかにするよう心掛けましょう。
(5)アルコールを控える
お酒の飲み過ぎも肥満の原因の一つになるため、ダイエット中はお酒を控えるようにしましょう。
アルコールのカロリーはすぐに消費され、体内に蓄えられることがないため「エンプティーカロリー」と呼ばれています。
しかし、これは「カロリーが空っぽ(お酒は太りにくい)」という意味ではなく、「栄養が空っぽ」という意味なので注意が必要です。
お酒のカロリーはアルコールによるものだけではなく、糖質やたんぱく質など、その他の成分によるカロリーも含まれています。
お酒に含まれるアルコール以外のカロリーは、アルコールの後から消費され、体にたまりやすくなってしまいます。
また、アルコールは食欲を増進する作用もあるため、脂っこいおつまみをつい食べすぎてしまう可能性もあります。
おつまみとして食べたもののカロリーも体に蓄積されやすくなるため、注意が必要です。
どうしてもお酒を飲みたいという方は糖質の少ないお酒を選んだり飲酒量を抑えたりして、おつまみも低カロリーのものを用意するように意識しましょう。
アルコール自体は1g当たり7.1kcalであり、ビールのレギュラー缶(350ml)には約14gのアルコールが含まれています。ただしアルコールから吸収されるエネルギーは体に蓄えられることがほとんどなく、実際に利用されるエネルギーは1g当たり5kcal程度ではないかといわれています。
3.こんな食事はダイエットに逆効果?健康へのリスクも
ダイエットのためにカロリー制限を行ったり、同じものばかり食べてしまったりしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのような行為はダイエットの成功をかえって遠ざけてしまう可能性もあります。
また健康に害を及ぼすリスクもあるため注意が必要です。
ここではダイエットの際の食事法にありがちな誤解についてご説明しましょう。
誤った食事法1 極端なカロリー制限を行う
「痩せたいからカロリーを制限しなきゃ……」
とつい無理をしてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに、ダイエットの基本は消費カロリーが摂取カロリーを上回ることです。
しかし極端なカロリー制限は百害あって一利なしといえるため、絶対に行わないようにしましょう。
まず、カロリー制限による減量は長続きしません。
ある程度体重を落とすことはできても、長期的には基礎代謝量が減って減量が停滞してしまうと考えられるのです。
基礎代謝量
生命維持のために、何もせずじっとしている状態でも消費される必要最低限のカロリーのことです。基礎代謝量は筋肉量が多いほど大きくなる傾向にあります。
無理なカロリー制限によるダイエットは、筋肉の減少やそれに伴う基礎代謝量の低下も招いてしまうと考えられます。
つまり、かえって痩せにくい体になってしまうのですね。
また食べるのを我慢していることでストレスもたまってしまう上、カロリー制限をやめてしまうと一気にリバウンドしてしまうかもしれません。
さらに栄養が欠乏し、便秘や骨粗しょう症、貧血、月経異常など、体にさまざまな悪影響が生じる可能性もあります。
基礎代謝量を下回るような極端なカロリー制限はダイエットの成功のためにも体調のためにも悪影響です。
絶対に避けるようにしましょう。
誤った食事法2 同じものばかり食べる
特定の食品だけを食べる「○○ダイエット」を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
しかし同じものばかり食べるのも誤ったダイエット法の一つだといえます。
カロリーの低いものであれば一時的には体重の減少が期待できるかもしれませんが、栄養が偏り体にさまざまな悪い影響を及ぼす恐れがあります。
推奨されている食品が体に良いはたらきを持つ栄養素を含んでいても、その他の栄養素が不足してしまえば体に良いとはいえません。
必要な栄養素をきちんと理解し、主食・主菜・副菜がそろった栄養バランスの取れた食事 を心掛けましょう。
4.ダイエットを成功させるためには食事以外の工夫も必要
健康的にダイエットを成功させるためには、食事以外にも意識すべきことがあります。
ここからは、食事の工夫と一緒に行うことでよりダイエットを効率的に進められる工夫についてお伝えしましょう。
食事以外の工夫1 適度な運動を取り入れる
ダイエットの基本は消費カロリーが摂取カロリーを上回ることです。
健康的なダイエットのためには消費カロリーを増やすために適度な運動を日常生活に取り入れて習慣づけることも重要だといえるでしょう。
具体的には基礎代謝量を上げる運動と、脂肪を燃やす運動を行うことが挙げられます。
基礎代謝量を上げるには、ジムや自宅での筋力トレーニングなどの無酸素運動、脂肪を燃やすためにはウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動が効果的 です。
無酸素運動
筋トレなどの運動のことです。筋トレは筋肉を増やし基礎代謝量を高める効果 があるため、じっとしているときや日常生活で消費されるカロリーを増やすことができます。
有酸素運動
比較的負荷の小さい運動のことです。筋肉を動かす際、血糖や脂肪が酸素と一緒にエネルギーとして使われます。
適宜体を動かし、より効率的にダイエットを進めましょう。
食事以外の工夫2 十分な睡眠をとる
忙しくてつい睡眠時間を削ってしまっている、という方も少なくないのではないでしょうか。
実はダイエットを効率良く進めるためにはよく眠ることも重要といえます。
睡眠中は成長ホルモンの分泌が盛んになると聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
成長ホルモンは大人の睡眠中にも分泌され、筋肉を発達させたり脂肪を分解したりする重要なはたらきを担っています。
よく眠ることで成長ホルモンが十分に分泌されれば、筋肉の発達や脂肪の分解が促進されると期待できますよね。
ダイエット中は特に十分な睡眠をとるよう心掛けましょう。
睡眠不足は食欲を抑制し体内のエネルギー消費を高めるホルモン「レプチン」の分泌量を減らし、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌量を増やしてしまうともいわれています。
5.まとめ
食事の改善はダイエットにおいて非常に重要です。
ダイエットの基本は消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態を目指すことにありますが、単にカロリー制限を行えば良いというものではありません。
食事の摂り方やどんな食品から栄養を摂取するかによって、痩せやすさは大きく変わると考えられます。
適切な知識を身につけ、バランスの良い食事を摂ることが痩せやすく太りにくい体づくりには不可欠だといえるでしょう。
また、ダイエットを効率良く進めるためには、食事だけでなく適度な運動や十分な睡眠も重要です。
つまり、健康的な生活習慣を身に付けることがダイエットを成功させる秘訣だといえるでしょう。
この記事でご紹介した工夫を生活に取り入れ、より健康的に理想の体型を目指してみてくださいね。